2.《ネタバレ》 イラン映画お家芸の人間ドラマに、欧米映画ばりのサスペンス風味をまぶしたような新しさ。近年はどこの国も演出、カメラとも手練れてきて映画作品に国境無し、みたくなってますね。昔の素朴なイランやインド映画が少し懐かしくもあります。
本作は妻の暴行犯探しというサスペンスを縦軸に、微妙に変わってゆく人間関係を織り交ぜていきます。事件前は申し分のない人格者であり教師だった夫がいら立ちを募らせて周囲との関係をじわーとこじらせてゆく様子がリアル。ついには真犯人に対する暴力が、相手が親ほどの高齢なこともあって妻(観てる側も)はドン引き。自らが被害者だけど夫の下す「制裁」には賛成できない、こうも心が離れてしまってはこの夫婦の行く末にはなはだ不安を感じさせて終幕となりました。洋の東西を問わず、どこでも起こり得るような苦い悲劇でした。
ところで、イランって性に厳格なイスラム国家だと思うのですが現実には「娼婦」が存在するのだなあとそんなことにもびっくりしました。