3.《ネタバレ》 この作品を観てから改めてフランスのオリジナル版を観たが、ニトロを積んだトラックという設定だけでリメイクしたい監督はかなりいたのではないかと思う。
オリジナル版は乾燥した山岳地帯を走破する設定だったが、これを密林に置き換えた本作のサスペンスも素晴らしい。
が、オリジナル版と同様、トラックが出発するまでの人物描写がかなりかったるい。
オリジナル版と違って前半で主人公たちが街に流れ着いた背景が描かれるが、オリジナル版と同様、トラックが出発するまでストーリーの主軸が見えないからだ。
当時は物事を順番に描いていくのが脚本のセオリーだったのであろう。
それにしても吊橋のシーンはまさに劇場のスクリーンで観られて幸運だったと思う。実物だけが持つものすごい迫力とサスペンスである。
CGなど無い今では考えられない過酷な撮影であったろうと想像できる。
同監督の「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」と本作を観て特徴的に感じるのは、しつこくプロセスを解説するシーンがあることである。
「フレンチ・コネクション」では車を解体するシーン、「エクソシスト」では女の子をレントゲンで診療するシーン、そして本作ではトラックをカスタマイズするシーンである。
だからどうしたということかもしれないが、自分は物事を論理的に説得力を持って見せるシーンが好きである。
逆に言うと最近の映画は情緒とテンポが優先されすぎて論理的、物理的な説明が欠けている映画が多いように思う。これは監督の教養にも関わっているように思う。
最近の映画と比較すると、全体としてはかなりいびつな構造の映画であると思うが、映画館でこそ見る価値のあるシーンが多々あり再評価されてしかるべき映画であると思う。