1.《ネタバレ》 今作のふたりは27,8くらいで、まァ~20代なら…と思わんでもないケドも、私なんかやっぱ20後半~30半ばくらいのイイ大人が嬉々としてルームシェアなんかしてるのを見てると(最近芸人さんでそーいうの多い)かなり強烈な違和感(とゆーか不安)を覚えたりもするのですよね。どーしたってある程度の期間(2年とか4年とか)は一緒に住む前提があるハズで、その期間キミの人生には「展開」は無い予定なの?という意味でです(私も人のコトは言えたもんではねーのですケドさ)。今作だって結局「ホレ見たことか!」なおはなしになってゆくワケで、でしかもソコにシガラミが在って相手の男には打ち明けられない(=打ち明けないことを選択する)とゆーのを含め、本質的にはまず決して今まで観たコトが無いって話ではないし、言っちゃあそれこそだいぶ無責任な話(=特に生まれてくる子どもに対して)にも思われる、個人的にはやはりその辺には第一にかなり強い違和感が在ったと言って好いのですよね。
ただ、今作を観てまず思うのは、そーいうワリとよくあるお話を描いてゆきつつも、肝心の主人公の女性ふたりのキャラ・或いはその振舞いには、非常に現代的とゆーか「新しさ」とでも言うモノがあったか、というコトなのですね。先ほど無責任とかゆーてはみたものの、それは男女のやんごとなき事情…と捉えれば、それ以外の部分での阿部純子のキャラクターとゆーのはごく常識的・理知的でかつ進歩的な女性であるのですし(年相応以上にも見える)、三吉彩花なんて尚更そーだとも思えますし。そして彼女らは職場でもバリバリ活躍してキャリアを重ね、だから自分の人生を自分の力でチャンと切り開いてゆけるという人間に確実に見えるのですよ。そーいう彼女らがこーいう判断をして少し変わった「家族」の形を紡いでゆく…という部分には、今までのこの手の話ともやや異なる新鮮さを感じた、というコトですね(重ねて、保守的な私なんかは彼女らのその決断の「中身」自体には、やはりどーしても違和感が残ると言って過言ではないのですケドも)。
テーマ的な部分について言うなら、ズバリ「子どもを育てるコト」の新しいカタチ・新様態を描く、というコトかと思います(社会・コミュニティ全体で子どもを育てよう、とか、少なくとも「親」だけが育児に責任を持つべき、とゆーのとは異なる価値観)。今の社会状況を思えばソコには個人的には非常に共感できましたし、そしてその方面からの社会的な意義もまた十二分に備える映画だ、とも率直に思うのですね(その部分は大手を振ってごくポジティブに捉えたい=捉えるべきだ、とも思います)。一方で、ひとつだけテーマ的な部分・映画としての建付けに不満があるとしたら、今作は徹底的に「女性の映画」になっている様に見える、つまりその「新様態」における男性の位置づけ(或いは解釈)とゆーのはほぼ描き込めていない、という点ですかね(まあ鶴見辰吾のお父ちゃんだけは出てきましたケド)。十分に奥行きの在る映画だと重々感じてもいるものの、いま一歩ソコに切り込めていれば(→更に深いトコロまで行けたカモ…)とだけは思いましたかね。
他、映像自体もかなりハイセンス&音楽も同様にセンス好かった、とも感じました。個々のシーンでゆーと、主人公ふたりがそれぞれひとりで旅行をする2つのシーンが好みでしたね。一見は何の変哲も無いただ緩やかな時間にも見えるのですが、ソコに旅のもたらす癒しがチャンと在ったとゆーか、ふたりの感情・思考がリフレッシュ・アップデートされる様子が的確に伝わってきてこちらもかなり心地好くなれたとゆーか。なんつーか、より望ましい「旅行の効能」が描かれていた、とゆーコトでしょーかね。