2.《ネタバレ》 毒親と、機能不全家庭と、その犠牲になるこども。フィンランドにもこの手の社会問題はあるのですね。誇張されたホラー仕立てであるけれど、問題の根っこは現実的でそこが怖かった。
冒頭からヤバさ全開の母親がキツイ。自己実現欲求の塊なSNS動画には吐きそう。この家族、母親が上げる幸せ動画とは実態は真逆だもん。往々にしてそうだけど。自分の理想にかなう子どもだけ可愛がる母親と、妻の浮気に気づいていながら何もできない父親と、姉ちゃんだけ贔屓されてひねてしまっている弟。
長女ティンヤは12歳、大人の欺瞞に気づき始める年ごろ。“ママの良い子ちゃん”で幸せに生きてきた彼女の心の深層に芽生えてきた抑圧されている自己や、他者への妬みや母親への不信等の大胆なメタファーがあの怪鳥なのだと気づいた時はざわっとしましたね。
母親が刺したのは優しくて社会性のある方のティンヤ。もはや双子の片割れのように生き残った方を、これから家族の一員として受け入れ生活していくんだろう あの脆弱な家族は。
恐ろしい結末だけどホラーとしては上出来。加えて画が清潔で美々しいので目に優しく、引き込まれて鑑賞しました。