13.《ネタバレ》 「2001年」と並ぶSF映画の金字塔。ということで見てみたけど、そう言われるだけのことはありました。
また、「絶対眠くなる」という噂どおり、1部の前半は睡魔との闘いでした。
でも、それを乗り越え2部へ入ると、何やら謎と比喩・暗喩だらけの展開で引き込まれました。
どうしてこんなダサくて不潔ぽいオッサン(クリス)が主人公なのか、最初は疑問だったけど、それも監督の計算だったんですね。
親の愛情に飢え、妻への罪悪感を抱えたダメおやじだからこそ、ソラリスの海が造り出す実体化されたものが死んだ妻だったわけです。
クリス以外の二人が作り出した物も、想像すると面白いような怖いような。
一人は小人を実験に使ってたみたいだし、もう一人は何か猛獣みたいなのと戦ってました。
妻のハリー役の女優さんは美しかったです。
だから凄い怪我したり液体窒素呑んで死んだりしても、蘇生してくるとこが、本当は怖いとこなんだけど、美しいので見応えがありました。
クリスが、ソラリスの海が作ったものだとわかってても愛に溺れていく説得力がありました。
ハリー自身、人間らしくなるにつれ自分のアイディンティティに悩み、最後はクリスのために自分から消滅を望みます。
とにかく、いろんな心理描写の暗示や言葉が散りばめられてて、SF映画のようでいて実際は「愛」「罪悪感の癒しと救済」の物語。
だから宇宙ステーションの中はまったくステーションぽくなくて、チープだったり芸術的だったり。
ラストのシーンも衝撃的だけど、あぁそうなんだね、クリスならそうなんだろうな、とも思えます。
クリスがもう少し締まったおじさんなら、もっと良かったんですけど。
1部ではダメかなこれは、と思いながら見てたけど、終わってみれば長さも気にならず、退屈せずに見れました。
もう一度見ようとは思わないけど、一度は見て損はない作品だと思います。