1.トランペットを吹く真田広之の頬がほとんど脹らまなかったり、夜の街を疾走するオープンカーの車体がやたら高く見える真正面からのカット等々、気になる描写多々あれど、ラストの“♪月の砂漠”の演奏まできちっと定石を踏まえたお約束通りのストーリー展開に、ある種の心地よさを感じさせる作品に仕上がっている。かなり趣味的要素が強いものの、さすがは映画通の和田誠氏だけあって画面の隅々まで拘っている様子が窺い知れる。とりわけトラックの荷台から後続の車のヘッドライトを逆光で捉えたショットは、この作品の中で最も印象的なシーンだと言える。