2.おそらく二度目により感動するたぐいの映画だろう、と日記に記しているが、まだ二度目は果たしていない。青春の自由と自由ゆえの頼りなさみたいなものが、あわあわと描かれていた。炭坑で働く人々の描写が向こうでは当局のチェックにあったとか聞いたけど、社会問題を提示するというより、青年たちがこれから出て行かねばならぬ社会の苛酷さにおびえためらう要素として置かれていたよう。汽車のモチーフが全編を貫いた。汽車を見たことのない彼らが、バスの中で警笛を真似て始まり、最後は村に戻って家庭にはいった一人の部屋でケトルが警笛のように鳴って終わる。その部屋からは、若いときにタムロしていた城門が見えている。日本にもあるサークル青春ものの中国拡大版だ。日本の青春ものの過剰ななれなれしさがない。外から聞こえてくる町の音、半野喜弘のヴァイオリンとチェロの音楽が、断片的に入る。