1.映画を観ている最中は全然意識していなかったが、後で考えるとこの物語は全篇一つの建物の中だけで展開されていたことに気づく。良い作品には意外と多いのだが、背景の大きな変化など無くても全く気にならず、完成された空間を繰り返し見せることによって、むしろその作品をより印象的なものにする、よく計算された演出である。映画の中では、教授は少しずつ彼らを受け入れていったが、実際自分が教授の立場であったら、心の狭い私は相当迷惑な人達に関わってしまったと、いつまでも後悔したと思うので、最後もそれほど絶望はしなっかたかも知れない(笑)。しかし一方では、時に血のつながりのない他人の方が、家族以上に分かり合えることも多いのでは、という考えも湧いてきた。なにしろ婦人とその娘の関係が、最も赤の他人のようで、屈折していたからである。家族とは・・・?