30.精神鑑定は主観によるものであり、それによって無罪となってしまうことを問題視した作品ではあるが、これには業界からの反論もあるだろう。ただし、精神鑑定の科学性や客観性・妥当性といった問題と、刑法適用や司法判断の問題については深く考えた事はなかったので、興味深く視聴できた。難点はややサスペンス色が強くなってしまって、両者の問題点をガッツリと描ききれなかったことだが、それは映画ではなく学問の役割なのかもしれない。 |
29.《ネタバレ》 もうずいぶん前にラスト10分くらいを観たことがあったんですけど、この度最初からじっくり鑑賞しました。 堤真一の演技には感服しちゃいます、そして当たり前だけどみんな若い。 しかし、検察官に弁護士、刑事、鑑定人、みんな何かどこかがヘンという人ばっかりで、ボソボソと何言ってんのかよくわからんというのがいちばんストレスな映画でした。時々流れて来るジャズぽい音楽があわないし、グルグル回るようなカット割りが見辛いのね。 遂に決行、となって部屋へ行ってみたらすでに奥さんが。 女鑑定人の登場と同じくらいの誤算じゃないかと思うんですよね。 私が想像するに、奥さんは凶悪な人物の唯一の目撃者になるはずだったんじゃないかと、わざと飲み屋で絡んでるし。 あの奥さん、自分の旦那の事どこまで知ってたんだろ?確実にどっかおかしいていう歩き方してたし。 工藤啓輔の事件現場での犯行は実にあっさりとしていて、積年の恨みをはらすっていうものはあんまり感じないのね、 目には目をという具合の復讐の是非よりも、刑法39条の問題点、そしてたった6か月で社会に戻り、またやったということなんだと思います。 【envy】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-09-14 00:24:31) |
28.《ネタバレ》 心神喪失者は(たとえ明らかに罪を犯していても)罰しないとする刑法39条に翻弄された人々の、主に法廷での心理サスペンス。東十条の団地で凄惨な殺人事件が起きたが、被疑者は事件当時の記憶がない。弁護士は「心神喪失だから無罪」を主張。被告を精神鑑定する女は、詐病つまり心神喪失は芝居であると直感。裁判の行方は?事件の真相は?罪とは、罰とは何か⁈ 「刑法39条は理不尽である」と言いたい映画だと感じた。クライマックス、鈴木京香演じる精神鑑定士小川香深(カフカと読む)が裁判官に訴えるのが以下のようなこと 「精神鑑定は、診断結果と鑑定士の主観でしかない。その程度のもので裁判所は心神喪失を認定する。これって被告の人権を守るどころか、奪うことになるんじゃないか。」 そしてラストの手書き字幕でも、39条は間違いだと言ってるような感じがした。 完全無欠で無矛盾で社会正義が完成してる法体系なんか、ほんとは存在しないだろう。どこかにバグがあるかもしれないと常に点検するのは民主主義の基本であろう。刑法39条についてもそうだろう。 ただ僕は、39条の言ってることは社会正義に適っているとかねてから思っている。 そんな僕に「そうかなるほど、確かに39条はバグだ、正義ではない。考えを改めよう!」と思わせる映画だったかというと、そうではなかった。 映画全体を覆う光加減、やけに目を合わせないでボソボソ喋る演技、めまいのようなグワングワン、法廷で響く論理的なセリフなどなど、雰囲気は大好き。 若い堤真一演じる被告は、職業は舞台役者で、どうやら奥さんから詐病を稽古されている。多重人格を演技するというメタ構造がとても演劇的。 一瞬ハダカになる裁判官たちは、堤真一の目か?それとも鈴木京香の目か?うーんしばらく楽しめそう。 【no_the_war】さん [インターネット(邦画)] 7点(2020-03-23 15:38:33) |
27.《ネタバレ》 「共犯者」2013/01/11鑑賞 「君は予想外の共犯者だ」の言葉に涙が出ました。 子役の優しい表情がここで生きてきます。 もし妻が偶然殺されてはいなかったら、ケイスケは妻も殺せたのか。 いろいろとリアルすぎて目を背けたくなる場面があります。 現実の39条の適用はどうなのでしょうね。 この映画の影響はあるのでしょうか。 鈴木京香さんはすてきでした。 口元がいい演技をしますね。 他の共演者も。 樹木希林さんも岸部一徳さんもいいですね。 わかりやすいキャラではないですが。 ただ母子のすれ違いと和解の意味がよく分かりませんでした。 音楽も静かでいいです。 【pige】さん [DVD(邦画)] 7点(2020-01-12 21:32:27) |
【竜ヶ沢中段】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-03-23 22:33:11) |
25.《ネタバレ》 “刑法39条”をテーマにした作品というコトだけで、見る前から『狂鬼人間』というキーワードが頭の中をグルグルしちゃうワケですが、鈴木京香が半狂乱で日本刀を振り回したりはしません。また、序盤の取り調べシーンでの刑事の意味不明な手の動き、主人公と母親の不穏な食卓場面から黒沢清『CURE』も頭をグルグルしましたが、やはりソコは“天才モリタ”の映画なワケで。役者陣の“ボソボソしゃべり&やり過ぎ怪演”、終盤のヌーディー裁判官をはじめとする“不思議演出”などで、バッチリ“森田節”全開なのです。そしてその割に、想像していた不条理オチにも走らずに(主人公がカフカなのに!)超思いっきりストレートに話に決着がついたのは意外と言えば意外でした。てなワケで…森田芳光監督作品で「フザケんな!」と思いたくないヒトには、お勧め映画かもしれませんね(笑)。 【幻覚@蛇プニョ】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-01-17 11:57:20) |
24.映画の序盤から終盤に至るまで、登場する人物の殆ど全員が、相手の目を見ようともせずにぼそぼそと話す。 鑑賞者としては、非常に聞き取りづらくて、不快感がつきまとったが、その不快感こそ、森田芳光がこの作品の中で貫き通したかった異常性であり、それが社会に生きるすべての人間に蔓延するものであることを表現したかったのだと思う。 他にも、大量の料理が並べられた食卓、グランドに転がる無数の軟球、カモメの無慈悲な目など、随所に目に見えない不穏さが溢れるシーンが多く描き出されていて、監督のこだわりを厭という程に感じられた。 「刑法第三十九条」という非常にデリケートで取り扱いが難しい題材を、意欲的にサスペンス化してみせていると思う。 核心となる計画の脆弱さなど、お話としての弱点は確実に存在する作品だと思うが、それを充分に補う要素が、監督の緻密な演出や、演者の存在感に備わっていたと思う。 時に過剰さも見え隠れしたが、俳優陣のパフォーマンスは総じてインパクトがあり素晴らしかったと思う。 岸部一徳、杉浦直樹、樹木希林、江守徹らベテラン俳優のあまりに個性的で強烈な脇役ぶりも特筆したいところだが、ここはやはり、主演の二人に言及したい。 鈴木京香も堤真一も、まだまだ若手の部類での主演作で、両者とも若々しい。 この難しい役どころを果敢に演じ、成功させてみせたことが、両者にとって大きなキャリアアップになったことは間違いないと思う。 映画の各シーンにおいて対峙し、互いの心理の本質を暴き合う様には、野心に溢れた俳優同士のぶつかり合いそのものを観ているようだった。 非常にアクの強い映画で、好き嫌いも大いに分かれるだろうけれど、こういう独特のアクを出す映画監督も少なくなった。 森田芳光監督の死は、やはり少し早過ぎた。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 7点(2013-06-27 22:40:11) |
23.森田監督作品の中で一番好みです。なかなか見応え有り。こういった事件や裁判に興味が有る方ならこの暗さに耐えられるでしょう。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 7点(2012-07-19 01:46:27) |
22.面白く、引きつけられる。 ただ、重いんだよなぁ・・・。 息抜きになる場面が1つもない。 最初から最後まで、重苦しい空気のまま進んでいく。 このあたりが森田監督らしい。 題材、キャストはとてもよいが、少し息抜きがあってもよい気がする。 |
21.《ネタバレ》 オープニングから暫らく、陰鬱な人物たちを、必要以上に被写体に寄ったカメラで描写します。しかもボソボソ何を言ってるのか分からない。とても不快で、全員がどこか異常に見えました。映画全体をサイコ調にしたかったのでしょう。狙いは分かるし、成功していると思います。とても不快だけど…。ラストで堤真一が誤算と表現した「共犯者」とは、精神分析を担当した鈴木京香が堤真一の内面に同調した、と解釈しました。結果として、演技が見破られた訳だけど、そこに至る過程で自らの考え方や痛みをトレースした人物がいたという事実に、堤真一は観念し、同時に安堵したように見えた。鈴木京香を自分の理解者と捉えたということです。堤真一もあの異常者演技を続けることに辟易していて、救われた部分があったのでしょう。肝心の三十九条問題は勉強不足で良く分からないです。裁判制度が裁くものは、罪なのか、人なのか、という概念の問題のように思えます。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-17 12:51:43) |
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20.《ネタバレ》 【注意!激しくネタバレ】この映画の肝となる事件の部分、「偶然に」柴田が訪れた時、男が自分の妻を殺していた、という状況があって初めて成立するワケですよねぇ。もし、そうでなければ柴田はどんな選択していたんでしょ? 男の妻を殺してたという選択はなさそうで、だけど、となると「演じた」事自体に無理が出てくるワケで・・・。んー。そこを突き詰めてゆくとサスペンスとして破綻してタイトルの意味そのものが喪失してしまうのが大きな難点ですが、一方で、寒くて暗い空気に支配された悲しい人々の物語は魅力的でした。登場人物全員がどこかしら心を病み、不安定な世界で生きていて、人の心を数値化する事の無理が語られてゆきます。弱い心の人々の物語が、じんわりと染み付いてくるような感じです。ただ、たまに思い出したように流れ始める音楽が不自然で、もう一切音楽なしな方が良かったんじゃない?って思いました。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 7点(2009-06-26 00:17:23) (良:1票) |
19.なかなか。「真実の行方」とはまたちょっと違って楽しめました。最初のタオルを探すところから演出にこだわりが感じられたなあ。役者も素晴らしかったです。岸部一徳のキャラはくどかったですが。 【すたーちゃいるど】さん [地上波(邦画)] 7点(2009-01-14 20:34:16) (笑:1票) |
18.この監督の映画は、ちょっと期待せずに・・観たんですが、良かったです。全体にダークな映像も良かった。容疑者の過去を調べに小さな漁村を訪ねるシーン冒頭の漁村の風景は、暗く歴史を感じさせ、美しく、ちょっと忘れられない。森田監督作品では一番、好き。 【グレース】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-08-12 20:14:14) |
17.《ネタバレ》 久々に見直しましたが、事件の全容が判ってしまえば、実は人間として一番まっとうなのは堤真一というパラドックス的な脚本が見事です。推理物としては突っ込みどころ満載ですが、自分と恋人の生涯を犠牲にしてでも、実行犯にではなく「刑法第三十九条」にナイフを突き立てたかった、という主人公の思いは痛いほど伝わりました。ただ脇役の怪演ぶりがちょっと目立ちすぎて本筋がぼやけたかも。 【ぱふ】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-08-02 16:25:30) (良:1票) |
16.森田監督の作品では、「家族ゲーム」とならび、一般受けする可能性の高い作品(小さい子をもつ親にはヘビー過ぎるかも..).サスペンスとしては、尋常でない緊迫感を出す事に成功しており、最上の部類.司法と精神医学にまつわる、テーマ性も充分.しかし、裁判官が唐突に真裸になっていたのにはただただ唖然.まったく余計な事としか思えません.このセンスが後の「模倣犯」の問題シーンにつながるのではないでしょうか? 【えぴおう】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-06-03 14:32:59) |
【魚】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-04-20 02:41:21) |
14.今日、TVのニュースで2人を殺し3人に重傷を負わせた男が、心神喪失が理由で無罪になったと見ました。映画の話では無く現実に起った出来事である。家族を殺された人間の心情を無視した明治の頃に出来た法律。それを見直さず放置したままの現在の状況に問題提起する意味で今一度、見かえすべき映画かと。 【クロフネ】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-02-28 16:38:10) |
13.見ている時はかなり引き込まれていましたが、少し日がたつと意外に重いモノは残っていませんでした。。とーーっても良質な2時間ドラマという気もします。。 |
12.これは見て損はないでしょう。森田監督は確信を持ってグイグイと作っていくタイプだからコケたとき眼もあてられないようですが、これは作風が吉と出た感じがしました。 【おばちゃん】さん 7点(2004-07-04 23:05:09) |
11.終始ひたすら地味で陰鬱な映画なのですが、途中で止める気にはなれなかった映画です。自分なら大事な人を殺されても、復讐の為にあそこまではできないですね。鈴木さんと堤さんの演技対決も見応えがありました。 【ひろほりとも】さん 7点(2004-02-13 11:51:38) |