1.ベトナム戦争最中にフランスの映画監督6人によって作られた11章からなる反ベトナム戦争、そして反米を訴えたドキュメンタリー。
■「プロローグ」米軍の戦闘機の映像とハノイ市民の自衛に備える様を見せて、弱者を叩こうとするアメリカという構図をまず示す。
■「ハノイ爆撃」ドキュメンタリーの巨匠ヨリス・イヴェンスによる映像はあきらかな反米ドキュメント。
■「パレイド」でハノイに爆撃を!と叫ぶアメリカ人を映し
■「泣きべそをかくジョンソン」で被爆に屈しない市民を映し出す。
■「クロード・リダー」 戦争の当事者ではないことを踏まえたクールな視点で戦争、そして偽善やエゴのもとになされる反戦を語る。
■「フラッシュ・バック」 ベトナム戦争のことの起こりの説明。
■「カメラ・アイ」 ゴダールの『中国女』やイヴェンスの映像をモンタージュしながら前々章の「クロード・リダー」同様に第三者的視点でベトナムとアメリカを語る。ゴダールは“表現の帝国主義に対する闘争”として映画を撮りつづけることを宣言。この人はなんでも映画に結び付けちゃう。
■「ビクター・チャーリー」 ベトコンと三週間いっしょに暮らした報道記者の語り。徐々にベトナムの内部にせまっていきます。
■「我々はなぜ戦うのか」 アメリカの正当性を訴える指揮官の叫びは自国内の反戦の高まりを表す。
■「フィデル・カストロ」
■「アンとユエン」 戦場のカストロ、そしてペンタゴン前で抗議の焼身自殺をしたアメリカ人の妻が語る。
■「めまい」迫力のデモ。
そして
■「エピローグ」。プロローグで流したミサイル運搬の映像がエピローグでも流れるが、11章を見た後ではとてつもなく恐ろしいものに見えてくる。
総評、反米一色の偏った見方の映像集だが、当時のフランスのベトナム戦争感とその記録映像集としてだけでも価値のある1本。加えて、クリス・マルケルの総編集によって見事に1本の映画になっている。