5.個人的には比較的よく出来た映画だと思いますが、このサイトの平均点は、現時点で5.7点。決して高くはありません。また棒グラフを見ると、かなり得点の分散が激しいのが特徴です。思うに、この映画は標準的な観客に受け入れられる内容を目指して、成功したものの、犬や盲導犬やドキュメンタリー版に思い入れのある人に、受け入れられなかったのだと思います。
ごく単純に「泣ける」映画を観たい人には、この映画は、むしろ良く出来た作品に見えたと思います。クイールの感情表現や、シンプルながら感動出来るストーリー・脚本は、基本を押さえたものでしたから。
ただ、テーマの関係上、犬好きなひと・盲導犬と関わった人も観ることになり、一般ウケを狙った「シンプルさ」や「あざとさ」が、その人たちに受け入れられなかったのだと思います。きっと彼らは「犬はこんなもんじゃない」「盲導犬の本質を描いていない」「CGで嘘臭い顔を描くなんて許せない」などと思ったのだと思います。また、ドキュメンタリーという『原作』がこの映画には存在し、小説の映画版が、小説ファンに受け入れられないのと同様に、彼らからも低評価を受けることになったのだと思います。
もちろん、この映画に批判的なこと自体を否定する気は、全くありません。私が言いたいのは、この映画は、上記のような思い入れがなく、かつ単純に泣ける映画を観たい人には、オススメできるということです。そして、映画という作品の時間&表現の制約上、どうしてもシンプルな描き方をせざるをえないという前提の上で、「犬の可愛さ」や「盲導犬という存在」を、これまで興味が無かった人にも伝えたことが、この映画の一番の功績だったということを、犬や盲導犬やドキュメンタリーに思い入れのある方にも、分かっていただければ嬉しいということです。