11.《ネタバレ》 第一次世界大戦下の中東紅海周辺が舞台。主役のイギリス軍人のロレンスは、軍事顧問としてアラブの部族を率い、アラブの開放を名目に、オスマン帝国軍を襲撃し、着実に戦果を挙げていきます。しかし、部下を亡くす失意の中でも、人を殺すことに興奮を覚えている自分に戸惑いを感じるようになり、これに、イギリス本国の方針(三枚舌外交)との齟齬や、オスマン軍に捕まり、受けた拷問のトラウマなどが加わり、精神がただれて、イっちゃった人になっていく様子を、雄大かつ苛酷かつ清浄な砂漠を背景に、異国情緒趣味を前面に出さない渋めの演出で描いています。丁寧につくった良い映画だと思うのですが、扱っている史実が複雑で、こちらが疎いということもあり、3時間半と長い割りに、背景が読み取りづらく、感情移入もしづらく、感動のしどころもわかりづらいんですよね。たぶんスルメ的な味わいなのだとは思うのですが。イメージしづらい一次大戦の中東戦線を知るきっかけとして、イギリス側視点で脚色されているものの、有用な作品だと思います。特典のメイキング&インタビューが面白かったです。気温が高くフィルムに黒いシミができてしまうとか、太陽を撮ろうとするとフィルムが焼けてしまうとか。完全版の作成に奔走したスピルバーグが、まだ若々しくて、本作の1ファンとして、目を爛々とさせて本作のすばらしさを語っていたのが特に印象的でした。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-10-03 18:39:16) |
10.アカバの砲台が海に向かっているショットのみが、成せば成るのだという思いと共に子供心に焼き付いていました。観直してみて、後の苦渋がこの爽快感を掻き消しています。ロレンスの抱いた大望は、彼の優れた戦術と、国王の老練さ、アリの胆力、アウダの磊落さが一体となってこそ果たせるもので、一人のナルシストの限界を見せつけられました。「どんな血も直ぐに乾かしてしまう」砂漠。何事も無かったかのような佇まいの美しさ、静けさに比例した非情さを痛感させられます。 【2023.6.12追記】 劇場鑑賞叶いました。 お目当ての一つドライデン顧問(架空の人物)演じる最晩年クロード・レインズ。少ない出番ながら三枚舌外交をが透けて見える存在感で大満足。 腹に響く音楽、目を瞠る湯水のような出費が窺える壮大な映像での冗長に過ぎる演出はデヴィッド・リーン印。 純白の民族衣装が血と泥で薄汚くなるロレンスの青春物語にも思えた名作を堪能しました。 |
9.《ネタバレ》 オリジナル版を14年前に見てから2度目。今回は時代背景を押さえた上で見たので多少理解は深まったように思う。こういう実話モノは人物への歴史的評価(英雄かペテン師か)やその後の歴史的展開(サイクスピコ協定)の影響を受けやすいので純粋に見る事は不可能であるのだが、あえてそういった事を捨象すれば砂漠の映像は確かに素晴らしいし、それにマッチする雄大なテーマ曲等により大作感は十分にある。だたし、主人公の行動の歴史的意義や是非を留保したとしても、ある意味その場の勢いで感情的に豹変する一貫性のない行動原理は共感しがたい部分はあり感動に至らない点ではある。とはいえ、ラストで部族間対立をまとめきれずさっさと逃げ出すところを見ると少なくとも「政治家」ではないし、たまたま活躍の場を与えられ戦いに明け暮れる事により自分の存在意義を確認する武闘派の承認欲求の強い人間だったのかと思う(砂漠ながら水を得た魚というか)。もちろん本人には多少の正義感はあったのだろうが、国際政治の前ではそんなものは一蹴されるわけで、歴史に翻弄されたと言えなくもない。という意味では壮大な砂漠を人生の舞台としたちっぽけなひとりの人間がそのオリジナルな生を全しようとしたドラマと考えれば映画作品としての完成度は高いように思う。その象徴として、冒頭で事故であっけなくその生が終了し、葬式において毀誉褒貶相半ばする人物として表現されている点に人生の儚さと難しさが凝縮されているようにも思える。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-25 06:22:49) (良:1票) |
8.映像美と音楽の相乗効果でストーリーとは離れたところでもこれほど味わいがある作品は初めてかもしれない。インターミッションでも楽しめるし、後半そのようなシーンが少なくなってちょっと残念にもなるほどでした。 そして私のような無知な者にとっては歴史を学ぶきっかけにもなりました。長編なので見る前の日は睡眠がいります! 【さわき】さん [地上波(字幕)] 7点(2016-12-03 18:26:12) |
7.《ネタバレ》 映画史に燦然と輝く、4時間に及ぶ歴史大作完全版のリバイバル上映を観賞。第一次大戦下、英軍人が砂漠の美しさに魅せられてアラブのために戦う。やがてイギリス人とアラブ人の狭間で苦悩するようになる。ピーター・オートゥル、オマー・シャリフ、アレク・ギネス、アンソニー・クインら豪華キャスト競演。太陽の照り具合で刻々と変わる砂漠の色・いろ・イロ。まるで万華鏡みたい。ただ、劇場が横長スクリーンではなくその良さを充分に体感できなかった。通常版に比べて尺の長さを感じて疲れた。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-08-17 00:50:58) |
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6.大学時代視聴覚室でLPをみてよく眠っていました。久しぶりに完走でき、ほっと一息。複雑すぎて、大作だけんども、おらには高尚すぎただぁ。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-13 16:49:34) |
5.砂漠を観るのにこれほど素晴らしい映画はないですね。音楽も好き。画面いっぱいに映る砂漠をさらにゴージャスに演出している! 時代背景と地理を確認してから観たほうがいいかもしれません。 【ようすけ】さん [地上波(字幕)] 7点(2012-11-03 09:01:32) |
4.4時間近い大作ということもあり、スケールの大きさもさることながら、演出映像などは今観ても古さを感じさせず、音楽も素晴らしい。 映画を観たという満足感は十分与えてくれるものの、主人公の人間像がよくわからなかった。 どうやら実際のロレンスも謎の多い人物らしく、感情移入しづらい要素があるという点では不満といえば不満。 あくまで戦争ドラマとして鑑賞するのがベストかと。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-10-27 12:59:29) |
3.《ネタバレ》 変人ロレンスの愛すべきキャラクター!果てしなく広がる砂漠の美しい映像に壮大な音楽!!と序盤はかなりワクワクしたんだけど…後半はけっこうヘヴィだったわね。 アラブ人を引連れて教祖サマみたいになったかと思いきやイキナリ凹みまくったりと精神的にヤバそうなロレンスを、メディアは戦場の英雄に仕立て上げ、古狸どもは政治のためにトコトン利用して…当の本人は失意のうちにアラビアを去った途端に事故死とは…。 結局アラブの人々もイギリスの三枚舌外交に振り回されただけで、現在に至るまであの辺は紛争が絶えないわけだし…ホント戦争って不毛ね。 ところでこの映画、俳優陣がメチャクチャ豪華よねー。 生粋のイギリス人なのに見事にアラブ人になりきったアレック・ギネスを筆頭に、ホントはメキシコ人なのにギリシャ人になったりアラブ人になったりと大忙しのアンソニー・クイン、さすがに衣裳がピッタリお似合いなエジプト人オマー・シャリフ…そんな中、飄々とした雰囲気にガラス細工のような脆さを秘めたピーター・オトゥールの存在感はやっぱりキラリと光るものがあったわ。 …美しい映像と音楽に俳優陣の迫真の演技がサスガ!の超大作デシタ。 【梅桃】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-08 18:51:28) |
2.雄大な砂漠の絵が素晴らしかった。美しかったです。音楽も非常にマッチしていました。ただ長かったなぁ。 【ギニュー】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-02-09 23:48:01) |
1.本当に長い。ぶっ続けで見てたら、もっと評価を下げたかもしれませんが、三回に分けて見るという邪道を使ったので、それほど気になりませんでした。静と動の使い方が逸品で、砂漠と戦争と砂漠の戦争を上手く表現されていると思います。しかし、後半になるにつれ、ロレンスが変わってしまって、最後は別れもさして描かれず(なかったのでしょうか?)にとても切ない終わり方でした。 【february8】さん [ビデオ(吹替)] 7点(2005-12-07 23:09:23) |