18.《ネタバレ》 兄ばっかり愛されて何だよ!…という単なるフテクサレでなく、
母・父・兄・彼女との関係の中で抱く淋しさや悲しみ、嫉妬、苛立ちなど、
複雑な心理を身体全体で表現しているJディーンの演技力が素晴らしい。
しかし、(次のコメントは、お叱りを受けるかも知れないが)
「キャルの人物像は、若干の発達障害があるのでは?」と思えてしまう。
「アイ・アム・サム」ほどじゃないが、ほんの少しだけの発達遅滞。
出兵出来るほどの年齢で「父の愛が感じられない~」と嘆く姿は、
やはり不自然さを感じる。アメリカなら尚更だ。
母の愛を知らずに育ったとしても、父が厳格過ぎたとしても、
それだけで双子の弟がああなるとは思えない。
母の様子を知りたくて尾行と投石、兄と彼女の触れ合いを覗き見る目つき、
嫉妬ゆえ?突然の氷柱投げ捨て、石炭落としの窃盗、
大豆の投機話を鵜呑みにする危うさ…、様々な場面で見せる「微妙な行動」。
当時の米国社会において発達障害は、全く認識されていなかっただろう。
「お前のする事は分からん!悪い子だ」と父が嘆くのも無理は無い。
聖書朗読の際に「第8章~」「数字を省略しろと言ってるだろ!」となるが、
彼は父に反抗しているのではなく、たぶん省略が「出来ない」のだ。
ラストにおいて父から「側にいて看病してくれ」と頼まれた時に見せる彼の安堵も、
若干の障害があると仮定すると妙にしっくり来る。自分の居場所を確定して欲しいのだ。
この作品が、たまたま「そう見える」のではなく「障害を背負っている青年の複雑な葛藤」を
意図して描いたのだとしたら…。1954年に?。
それって、超先進的な傑作・問題作だったという事に…なるかな?。