1.《ネタバレ》 名だたる国辱映画として作品名は知っていましたが、いやはや、これはなかなかの掘り出し物でした。まあ題名が“House of Bamboo”じゃあ日本人としては観る前から抵抗感が強くなってしまうのもしょうがないですが。なぜか東京のパチンコ業界を牛耳る傍ら強盗ギャング団のボスでもあるR・ライアンと、その組織に潜入する捜査官R・スタックが死闘を繰り広げます。このライアンが直接描写はないのですが実はホモらしく、でも冷酷ながら結構魅力的なキャラで、ノワールは悪役に魅力がないと面白くないという鉄則をさすがS・フラーは判ってますね。特筆すべきはワイドスクリーンでロケされた日本の情景で、昭和20年代後半の東京が美しいカラー映像で見せてもらえます。女性がほとんど和服姿だったり、畳の上にいきなり風呂があったり、そりゃおかしなところは沢山あります。しかし敗戦後10年も経ってないと思うと、それなりにS・フラーの日本に対するリスペクトが感じられます。ライアンの屋敷で芸者たちが踊る宴会シーンでは、『キル・ビル』の青葉屋が思い出されるシュールさです。クレーン撮影で上下を意識した映像が多用され、ラストのデパート屋上での銃撃戦は、ダイナミックな映像でインパクトがあります。早川雪洲も頑張っていますが、なんと言ってもあの伝説の大女優である李香蘭(山口淑子)がハリウッド映画で見られるとは驚きました。雪洲の日本語はひどかったですが、香蘭の英語はとても流暢で上手でした。