2.《ネタバレ》 どういうワケだか、この十朱幸代という女優さんには、「タイガー炊飯ジャー」のイメージしかないんですけどね。その彼女の主演作。
確か、NHK大河ドラマによる春日局ブーム(?)に乗っかった作品ではなかったっけ。となるともう、例によって例のごとく、東映の岡田社長が「パクれ」という指示を出したとしか思えなくなってしまうのですが、とりあえず本作では、家光の乳母である春日局が実は彼の実の母親でもあった、という設定で、将軍三代目の世継ぎ争いを盛り上げます。
なにせ映画の冒頭が、関ケ原後の小早川秀秋、なんていう、誰もが知ってそうで知っていないトリビアから始まるもんで、興味津々。炊飯ジャー以外の十朱幸代には違和感しか感じられないものの、それを補って余りあるドラマが展開されます。タイトルは「女帝~」ですが、実際は女帝になるまでのオハナシ、エピソード0、春日局・ザ・ビギニング。
彼女を手籠めにして家光を孕ませる家康(つまり秀忠と家光は兄弟ということですな)、スケベさと貫録が同居したこの役柄は、まさに若山富三郎ならでは。年老いたヨボヨボ感を出しつつも、ラスト近くで春日局と対峙する際にスクっと立ち上がる姿などは、ちょっと惚れ惚れします。
往年の東映時代劇を偲ばせる大がかりなセットも見どころですが、さらに、映画の要所要所に配置されて印象的なのが、蝋燭の炎。蝋燭こそがこの映画の隠れ主人公、と言っても、よいのでは。