1.殺人を犯したジュリエットが15年の服役を終えて出所。妹のレアが迎えに来たところから映画は始まる。簡単ではない社会復帰、例えば就職の面接で「誰を殺した?」と訊かれ、正直に「6歳の息子を…」と明かすと、すぐさま「出て行け」と言われてしまう、世間の目は厳しい。ジュリエットも心を閉ざしがちで、レアとぶつかる事も…。そんな重苦しい話を淡々と描いているのが特徴と言えるかもしれない。見応えある秀作だと思うが、終盤になって明かされるジュリエットが息子を殺した理由については特に驚くようなものでは無かった。凄い真実が隠されているのではないかと期待していたのも悪かったが、少しばかり拍子抜け。ただ、ジュリエットが裁判でもほとんど喋らなかった意味については考えさせられた。腕の立つ弁護士を雇い、同情を得て、罪を軽くしたところで、それはジュリエットにとっては何の意味も持たないのだろう。誰よりも罪の意識に苛まれたジュリエットを前にしては法でさえ一体何の意味があるのだろうかと思ってしまった。