2.《ネタバレ》 エヴァにかぶれてた当時高校生の自分には渡辺いっけいと浅野忠信の間接的な交錯が胸に刺さって抜けなかった。
「お前には価値がある、って、そういうことでしょ?」
浅野忠信の衝動的な性暴力のあとで、渡辺いっけいから発せられたそのセリフを、
鑑賞後数日間ずっと意味もわからず反芻していた。
やがて、衝動的な優しさは暴力になりうる危うさがあるということを、この映画から学んだ。
そしてそれは、台風クラブの性的衝動と符号し、青春の営みは、危うさと表裏一体であり、
それこそが美しいと、そういうことなんじゃないかと、感激したのだが、
庵野秀明が映画化の権利獲得にのため村上龍へ口説く後日談には、
「彼は『この作品には愛があります』なんてウソを言う他の監督と違い、
『いくらの予算で撮れるか』だけを熱く語っていたので返って信頼できた」
との談があり、映画はこのような情報の非対称性も含めて楽しむものかも知れない、などと思ったり思わなかったりしたものだ。
ラストシーンは素晴らしかった。ラストシーンのためだけに、それ以外の全てを我慢して鑑賞する価値があると感じた。
結果論だが。