1.《ネタバレ》 子供時代、ちょっとひねくれた男の子だったなら素直に楽しめる作品。小学校時代の「あるある」話をうまく90分にまとめている。この映画の舞台はアメリカの中学校だが、ちょっと幼稚すぎやしないか。日本で育った僕には小学校高学年の頃が強く思い出された。ひょっとしたら日本の子供のほうが少しませているのかもしれない。
当時のクラスは明確に階級に分かれていた。いじめっ子がおり、いじめられっ子がおり、変な奴がおり、アウトサイダーがいる。第一階級は喧嘩が強かったり運動神経がいい奴で、ここに入るのは並大抵なことではない。第二階級ではいわゆる普通の人であることが大切だ。第一階級を目指すがために第三階級に転落の憂き目にあう人間は多い。目立ちすぎるがためにいじめられてしまうのだ。中庸を以って良しとする考え方が大事だ。
そんな中、主人公のグレッグは第二階級から果敢に第一階級を目指す。人気者としてアルバムに掲載されようとする。容貌としては問題ないが、体が小さい上に、小学校からのどんくさい幼馴染と一緒なのが目下の悩みだ。彼はマキャベリストになり、上を目指すためにあらゆることをする。レスリングを始め、親友との絆を断ち切り、強い者には巻かれ、弱いものをいじめる。しかし、事態はどんどん悪化してしまう。彼のランキングは急降下し、遂にはいじめられるようになってしまうのだ。
彼のやることがことごとく裏目に出るさまは観ていて心地よかった。一種のノスタルジーを感じた。同じ第二階級に属していた僕としては、彼の姿に同情しつつ、その中に自分が見えた。僕も彼と五十歩百歩の卑怯な人間だった。この映画は当時に観たかった。そして、人気者を目指すのではなく、女の子にもてようともせず、もっとかっこよく生きたかった。