1.《ネタバレ》 ドラマティックな展開は殆ど無いのに、約2時間半ついつい見入ってしまいました。
退屈と漠然とした不安が漂う地方都市に住む市井の人たちの日々の呟きを、上手く切り取ってつなげ、一つの作品にしてしまう佐藤泰志の才能と、80年代に創られた原作を今の時代に持ってきて上手く映像化した熊切監督の技量が上手くマッチしています。
地方都市が80年代に「変わりゆく日本」に乗っかろうとしながらもどこか取り残されていく姿が、現在「変わりゆく世界」に取り残されそうになっている「日本」にどこか被っているように感じられ、この作品が現在再評価されているのも理解できます。
内容については、やはり最初の物語のエピソードに漂う虚無感がこの作品のキモなので、そういう意味で、谷村美月と竹原ピストルのキャスティングが見事にハマっていて作品全体のクオリティも引き上げていると思います。
後は、とにかく「猫を抱いた婆さん」のインパクトの強さですね。この人を見つけてきた熊切監督の眼力に感服しました。