7.《ネタバレ》 結構社会的な雰囲気を映像や脚本に投影していると思われ、狙い所がかなりビシッと良い感じに面白い方向にフォーカスしている。時代的にメチャクチャな人間として描かれているハリーが実は西部劇の堅気の人的な人格で、キャラクターとのそのマッチングが上手くいっていない様が今度は悲壮感や空疎さではなく、滑稽な方向へと軌道修正されたせいで味わい深い作品になっている。
同年のアウトローと比べると明らかに引けを取る本作ではあるが、なかなか楽しめる。変なリアリティと馬鹿馬鹿しさ、フィルムの色彩が生む異様な世界。地味な風景とキャラクター達が作り物の線を越えそうな奇妙さは七十年代ならではの良さだと思う。
一歩間違えると狼よさらばの続編たちみたいになってしまうのだが、ギリギリではありながらそうならずに割ときちんとダーティハリーとしてまとまっているあたりに拍手したい。
でも別に狼よさらばが悪いって言ってるんでは無い。