2.《ネタバレ》 悪事から足を洗ったヤクザ者が、仲間への仁義から再び犯罪の世界に戻らざるをえなくなるという『カリートの道』のような映画ですが、なんとこれが実話。伝説の犯罪者・エドモン・ヴィダル本人が書いた自伝が本作のベースとなっています。ヴィダルはジプシー出身であるがゆえに幼い頃から差別を受け、冗談半分でサクランボを盗んだ件で服役させられたことから(書類送検で済む事件だったにも関わらず、彼がジプシーであったために通常では考えられないような厳しい刑が課せられたようです)、本格的に悪の道へと入っていきます。映画では、現在のヴィダルの物語と、彼の生涯の物語が平行して描かれるのですが、そのどちらもが激シブの完成度。ヤクザ映画が好きな人には堪らないドラマとなっています。。。
問題点を挙げるならば、ヴィダルと相対するセルジュの人となりの描写が不足していたことでしょうか。彼はいつから仁義の道を踏み外していたのか?その点が曖昧であったため、セルジュの本性を見抜けなかったヴィダルの物語として、やや腑に落ちない内容となっています。