3.《ネタバレ》 言わずと知れたルイス・マイルストンの30年版のリメイクで、なんとこの大作がTV映画として製作されてます。『レマゲン鉄橋』と同じようにチェコスロバキアの解体予定の廃村を使ってロケされたそうで、それがTV映画のバジェットで賄えた要因だったのかもしれません。原作のエピソードを巧みにつなげた脚本で、30年版ではカットされた皇帝が閲兵するエピソードもきちんと盛り込まれています。有名なラストも鳥をスケッチしようとして狙撃兵に撃たれるというオリジナルとは違ったエンディングですが、実は原作小説ではパウルがどういう状況で戦死したかについては言及されていませんので、ここは30年版が創造した功績をうまく引き継いだと言えるでしょう。 オリジナルと比較すると、パウルが休暇で帰郷するシークエンスは本作の方が胸を打つところがありました。カントレック先生の描き方が、30年版よりも少し人間味が感じられたところもよかったかと思います。まあここは母を演じるのがパトリシア・ニール、先生役がドナルド・プレザンスというキャスティングの功績かもしれません。逆に穴の中でパウルがフランス兵を刺殺するシークエンスは、オリジナルの異様なまでの迫力には残念ながら及びませんでした。あとアーネスト・ボーグナインは原作のイメージにはまりすぎるほどの好演技だったんですけど、いくら古参兵でも歳とりすぎなのは、如何ともしがたかったです。 劇場映画としても十分に通用するレベルの良作だと思いますが、モノクロ映画で記録フィルムを見せられているような戦闘シーンがいまだにトラウマになっている30年版には、太刀打ちはできなかったという感じです。