1.《ネタバレ》 別に原作ファンという訳じゃないですが、思う所は多々・・・。まず、ベン・バーンズ。ちょっと爽やか過ぎですが、押しも押されもせぬ美男子で、これは意外にも良かったのでは。堕落していく様や苦悩を良く演じています。問題は、ヘンリー卿です。コリン・ファースは、やっぱり違うと思いましたね。原作の雰囲気で行くと、もっとニヒルで高みから見下ろしているイメージで、若いころのジェレミー・アイアンズなんですが、コリン・ファースではちょっと華がない。この作品は、ヘンリー卿が真の主役であり、この狂気の男がいたからこそ、ドリアンの物語が成立するわけで、そういう意味でも、コリン・ファースではあまりにも表裏がなさ過ぎではないかしらん。・・・が、もっと難点は、女優陣が軒並み魅力に欠けることです。ドリアンの向こうを張る魅惑的な色気のある美しい女優を地の果てまで探しつくして欲しかったですが。安易に手を打った感がなきにしもあらず・・・。これじゃ、折角のベン・バーンズの美貌も映えません。おまけに、原作にはないヘンリー卿の娘を登場させ、それによってドリアンが善意に目覚め、ヘンリー卿が父性全開になるという筋書きは、原作者オスカー・ワイルドが見たら怒りのあまり憤死するのではないでしょうか。いや、案外、楽しんで見るかも知れませんね・・・。分かりませんが。しかし、本作は、英国と英国人によって作られたことに大いに意味があると思います。つっても、ワイルドはアイリッシュなんですが・・・。ま、英国の話ですしね。醜く変わり果てたドリアンの肖像が、CGで絵の中から出てきたのは、もうゾンビ映画です・・・。肖像画はとても素敵だったのに、なんでゾンビなんかにしちゃうんだよ・・・、トホホ。と、まあ、貶したりホメたり、忙しい映画でした。こういう系は割と好きなんで点数は甘めで。