9.《ネタバレ》 超ネタバレです。原作は未読。なので細かいキャラ設定などはわかりませんが、端的に言えばごくごくありふれた不倫物語ということで。ただし逢瀬の現場でダンナと鉢合わせ、みたいな下品なシーンは一切なく、緩い緊張感がずっと続く感じ。人によっては、それを睡魔と呼ぶかもしれません。 黒木華もいいけれど、これは松たか子の映画だと思います。いかにも良家の奥様という雰囲気で、多くを語らなくても、しぐさや表情や言葉の端々で感情がモロに伝わってくる感じ。 なので一番グッと来たのは、終盤の手紙のシーンでも倍賞千恵子のシーンでもなく、オモチャのような家が花火のような爆弾でチャチに燃えていくシーン。そしてダンナ様と抱き合って死んでいたというナレーション。狂おしいほどの恋愛感情も、貞淑を装う倫理観も、別れの深い悲しみも、そういう人間が一生懸命に生きた証のような一切合切を、戦争は一瞬にしてあっさり燃やし尽くしてしまうんだなあと。残酷なもんだなあと。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-02-10 01:26:55) |
8.《ネタバレ》 女中のタキが小さいおうちで過ごした日々の回想自叙伝のてい。 戦時中の様子や、おうちのなかでの出来事、そしてラストに繋がる物語。 見ごたえがありました。 そんな感想を記しにきたら、みなさんのレビューでフムフムなるほどな解釈。 いやー、なるへそ。です。 映画を観たあといろんな感じかたができる映画って、やっぱりいい映画だなって改めて思いました。 【ろにまさ】さん [DVD(邦画)] 7点(2021-06-19 07:30:58) |
7.その時代に生きる人々の様々な想いが戦争によって破壊されていく。「過去を美化するな」という戦後教育を受けた若者の叫びに2重の意味を込めた、山田監督の反戦映画なんだろうと思う。(原作未読なので小説のテイストは違うのかもしれないが) |
6.あの絵を捨てたのはもったいなすぎるがどうやって入手したのかがすごく気になる。 【アキラ】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-12-16 15:56:31) |
5.《ネタバレ》 山田洋次監督が戦前、戦中、そして現代を舞台に何十年も秘められた恋を描いた映画。見る前はかなり不安な面もあったのだが、実際見てみると安心して最後まで見ていられたし、ところどころ難はあるものの良い映画だった。丘の上に立つ赤い屋根の小さいおうちのモダンさが印象的で、主演のふたり、奥様・時子を演じる松たか子は気品のある演技でとても良いし、タキ役の黒木華もまるで本当にその時代の人のような存在感と抑えた演技も印象的でこのふたりはまさにハマリ役。奥様と板倉(吉岡秀隆)の不倫関係を描くというのは山田監督の映画では異色のような気がするが、決していやらしくならずに描いているところが山田監督らしく、あまり不倫の映画を見ているという気にはならないし、ミステリータッチの展開も山田監督の映画では「霧の旗」以来だと思うが、この要素もうまく機能している。「母べえ」とほぼ同じ時代を舞台にしていながら、映画から受ける印象が違うのも良かった。(出てる役者のせいもあるのかもしれないが。)舞台となった小さいおうちが空襲で焼けるシーンをミニチュア特撮で表現したのも山田監督の映画としてはずいぶん思い切っている気がする。全体としては「東京家族」より本作のほうが好みなのだが、いちばんの不満としては登場人物たちの悲しみを号泣で表現する演出が多いのにはストレートすぎてひいてしまうし、せっかく出来ていた感情移入も途切れてしまうのは残念。(中でも倍賞千恵子演じる晩年のタキがモノローグで感極まって泣き出すところは唖然としてしまった。)原作がどうなっているのか知らないのだが、もっと抑えた演出のほうが効果的だと思うし、山田監督ならそれができるはずだ。あともう少し、「東京家族」の主要キャストが出演しているが、撮影の延期で降板した室井滋も過去パートに出演していて、黒木華演じるタキと一緒のシーンを見ていると、演じているキャラはちがうのだが、描かれている時代背景が同じせいかこの前までやっていた朝ドラ「花子とアン」をつい思い浮かべてしまった。終盤に出演している米倉斉加年(「男はつらいよ」シリーズ常連俳優)が最近亡くなってしまったのは惜しい。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-11-28 01:39:32) |
4.吉岡が二十代て。とツッコミどころもいろいろありましたが、さすが山田洋次、落ち着いて最後まで鑑賞出来ました。 【ケンジ】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-11-03 20:05:03) |
3.黒木華のさりげない存在感が印象的でした。脚本なのか演技力なのか吉岡秀隆演じるキャラクターに松たか子が不倫に走ってしまう魅力が伝わってこないのが残念でした。 【ProPace】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-09-27 15:40:20) |
2.《ネタバレ》 丘の上に建つ赤い屋根の小さいおうち。 戦前の雰囲気をとても良く醸し出していた松たか子と黒木華。 やはりこの映画はこの二人!ですよね。 期待以上の静かな感動を残してくれました。 ただ・・板倉さんにあまり魅力を感じなかったことと、 封印してきた罪?にタキさんがどうしてあそこまで苦しみを持ち続けて来たのか・・ イマイチ分からなかった私は・・?感性がすり減ったのか、なんて思ったのでした。 【AKO】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-07-05 14:48:34) |
1.《ネタバレ》 まず、昭和初期という時代設定から、大正時代はもとより明治時代のハイカラな雰囲気を残す街並みや風景に心躍りました。赤や朱色といった艶やかな色合いを基調とした家や着物もキレイでしたし、観る者を (視覚的に) 飽きさせない映画であったと思えます。 タキが残した自叙伝が時代を越えて心をつなぐ、、とはどこかで観たようなストーリーでしたが、その一筆はその心とともに「戦争」という激動の時代を乗り越えた分、そこは単なる年数にとどまらないような、果てしない時間の経過とか、一際の感慨深さを感じた次第です。 また山田洋次監督らしい笑いの中にも、タキがこの若さにして花輪のような老人に嫁がされそうになったり、当時の女性の身分とか生き苦しさを感じさせる描写が多く散見されました。監督の作品群の系譜から見ても本作は異色作であり、同時にまだまだ創作意欲の尽きない意欲作、と言えそうです。 →2021/9/29追記。 キムリンさまの意見にとても感銘を受けました。 なるほど、確かにそう言われるとそう見えてきます。タキがその想いを心の中に封印したのは、彼女の慎み深さなのか、あるいは「時代」がそうさせたのか、、改めて色々と考えさせられます。 【タケノコ】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-01-27 19:00:54) |