1.《ネタバレ》 1953年の作品。まだ東西を隔てる壁が築かれる前のベルリン。
前半は兄を訪ねてロンドンからベルリンを訪ねてきた妹の兄妹に兄の妻、
この3人以外は得体の知れない人物が次々に登場する。
そして何か深い事情を抱えているかのような兄の妻。
中盤以降、少しずつ戦争と東西冷戦に人生を変えられてしまった登場人物が抱える事情が明らかになっていきます。
終盤のスリリングな脱出劇と、そこに挿入されるメロドラマ。
脱出劇のテンポは少し落ちるのですが、ジェームズ・メイソンのシブさとクレア・ブルームの可憐さ。
2人の魅力を十分に味わうことができます。
まだ街にはがれきの山が至る所に残り、
街にも、人々の心からもまだ戦争の傷跡が癒えないベルリン。
東側の街の至る所に掲げられているスターリンの肖像画・・・。
そこからは戦争と、戦後の冷戦下の東西陣営の様々な思惑が交錯し、
それに翻弄され続けた当時のベルリン市民の置かれた状況が垣間見えてきます。