1.《ネタバレ》 知る人ぞ知るカルト的な人気のフェイクドキュメンタリーオリジナルビデオ作品「コワすぎ」シリーズの劇場版。コワすぎってのは、投稿者からの怪異が映ったビデオの真相をさぐるために、ディレクターの工藤とアシスタントの市川、カメラマンの田代が、現場に取材に行ったり、関係者にインタビューするってのをドキュメント風に見せた作品です。ある意味「ほんとにあった呪いのビデオ」を発展させてドラマ風味を濃く出したって感じかな。この作品の面白いところは、まず、毎回、テーマになる怪異の謎を追っていくうちに、元の怪異からは全く想像できない秘密へと展開していくところです。例えば第一回目は口裂け女がテーマですが、これがある呪術へとつながったりします。そして、この作品、作風はドキュメント的なんですが、どんどんストーリードラマ化していきます。そう、ちゃんとした物語になっていくんです。で、観てる僕らはその物語をドキュメント風に観ることで、普通とは全く違う感覚でドラマを楽しんでる感じになっちゃうんです。この感覚、不思議です。さらに面白いのが、各回はつながっていて、例えば、第一回に出てきた呪術の道具が後に役に立つアイテムになったりします。でも一番面白いのは、スタッフ達のキャラです。ディレクターの工藤は、コワモテで強引なディレクターって感じのキャラなんですけど、根もほんまに強引で暴力的な奴です。怪異を追求するためには、犯罪も犯すし、人もすぐに殴ります。こいつの動向が一番コワすぎです。でも、それが人助けにつながり、そして徹底的にやるぞってゆう精神が時に頼もしく感じちゃうんです。代わってアシスタントの市川は、工藤にいつも殴られたりするパシリみたいな女性ですが、いつも冷静で仕事ができ、メンバーの中で一番まともで、時には一番勇気を出して怪異に立ち向かいます。彼女は回が進むにつれ、魅力的になっていく所がいいです。カメラマンの田代は白石監督本人です。ほとんど撮ってるだけですが、最終章では異例の活躍をします。これらのスタッフが時には危険な目にあったりして、怪異を目の当たりにします。一例をあげると、深夜、池のほとりで河童の集団と対峙したりします。で、この映画、パート1~4、劇場版序章を経ての六作目です。今回の3人が挑むのは、謎の失踪事件が起こる「たたり村」と呼ばれる廃村です。今回もビデオシリーズように、物語は超展開していき、しかも、今までのシリーズで少しづつ提示されていた伏線が次々回収されていきます。だからシリーズをちゃんと1から観なきゃ、全然面白くもなんともありません、正直、特撮CGもしょぼいです。でも、もしも、パート1を見て、この作品、意外と面白いかもと思い、この映画まで来ると、テンション高く楽しめます。進撃の巨人やエヴァみたいな設定あり、もののけ姫に出てきそうな映像ネタ、もちろんクトゥルフっぽいものなど監督が好きなものをドンドン入れてきます。ただし、映画は完全な結末ではありません。このシリーズ、この後があります。「コワすぎ最終章」です。これが、またすごい展開で、今までのシリーズが全部つながるどころか、白石監督の他の映画作品ともつながってしまい、思わず、笑ってしまうオモシロ展開を見せます。ちょっとだけゆーと、東京の上空には巨大な巨人が浮かび、それが当たり前になってる世界で、パンツ食べます。超バカバカしいです。でも楽しい。なんでしょ、もう自分もこの作品の中にはいっちゃってるようなよくわかんない楽しさです。ここまでの展開を誰が、パート1を見た時点で想像できたでしょうか?とにかく、シリーズ全部ひっくるめて、怖いけど、バカバカしく、そして楽しいのです。シリーズ全体だと間違いなく10点つけますが、映画だけの評価だと、オチが中途とゆーことで、こんな評価かな。ちなみに、今は「超コワすぎ」とタイトルも変わり、2話まで出てますが、2話目のお話がこれまた泣けるんだ。