2.《ネタバレ》 1930年代のハリウッドを舞台にした、アレンにしては控え目ながらもシニカルな一面も見せるロマンティックコメディ。
作中には次から次へと映画の歴史を作ってきたレジェンドの名前が出てきたり、
スペンサー・トレイシーやジョーン・クロフォードのビバリーヒルズの邸宅を見物に行くくだりなどには、
いち映画ファン、アレンの趣味が垣間見えてとても楽しい。
撮影がストラーロであることに驚きましたが、これまでにもアレンが描いてきた
過去のアメリカ、アレンの作品の色との相性も抜群でとても美しい映画でした。
近年のアレンはヨーロッパを拠点にした作品を発表する機会が多いですが、
アイゼンバーグ演じる主人公を中心としたユダヤ人のファミリーに、ギャングに、軽快な音楽に、
やはり、アメリカで撮った映画にはよそいき感が無いというか、アレンらしいテンポ、アレンらしい言い回しにほっとさせられます。
作中の台詞にもありますが、人生はラブソング。ハリウッドで一度は恋に落ちた2人が、それぞれの人生のパートナーと現実の人生を生きる一方で、
ひょっとしたら全く違った人生になっていたかもしれない、実現しなかったもうひとつの人生に思いをめぐらす。
あっさりとしたエンディングではありますが、何も語らない2人の表情で終わるラストが何とも言えない余韻を残します。