1.《ネタバレ》 現実のアブハジア紛争に題材を求めている作品ですが、その事件における実際の社会状況が広範に描かれるというモノではなくて、ごく非常に小さなコミュニティでのとある出来事を描いた作品になります。ただし、登場人物の人種的多様性(=複雑さ)という部分には、この問題のごく厄介な要素とゆーのをギュギュっと凝縮して詰め込んでるとゆーか、まァ~とにかくエストニア人だジョージア人だチェチェン人だ、とその部分はフツーに観ていて相当にややっこしくも思われますね。ソコはある程度、アブハジア紛争或いはコーカサスの民族的背景事情なんかを前提知識として入れておかないとイザという場面で混乱する…かとも思います(アレ、どっちがどっちの敵味方だっけ?と)。
しかし、だからこそ本作はそのテーマ語りの部分「君と彼とは違う人間なのか」とゆーのが非常に分かり易く頭に入ってくるとも言えるのですよね(ソレは現実問題として、彼らは総じて見た目や喋る言葉の感じなんかは率直にあまり大きく違うともやはり思われなくて、そしてその辺も実際の映画の描写としてもしっかり含まれてくるコトも踏まえて、ですね)。その意味でも、題材とテーマ面の取合せの適切さ、そしてそのメッセージが(作品の終わり方自体は一種のバッドエンドにも見えなくないケドも)ごくポジティブな空気感の中に描かれるのも含め、シンプル&コンパクトな作品ながら実に完成度の高い反戦映画だと思いました。またある意味で、今の世界にも確実に必要な映画だ…とも思ったりもするのですね。