1.《ネタバレ》 木村文乃がそれぞれ正対して聞き取りしていく四人の女性との切り返しショット。
これが、終盤の彼女の「彼女たちは私なのだ」という科白にも絡むのだろう。
長回しを効果的に使い、美術と人物の配置をよく考えながら、時に突き放し、
時にはキャラクターの心の動揺に不安定にシンクロしつつショットを作っている。
ラスト近くの木村と岡田の対話ではその中に陽光を的確に採り入れる芸当なども見せてくれる。
ヒロインの涙の芝居に対しては、そこであえてカメラを引いてくれれば言うこと無しなのだが。
浴槽の中を潤し満たしていく水道の流水音が、彼女の生命力を表すように響き渡る、といった演出もなかなかいい。