2.《ネタバレ》 「物語はその恋を見つけた日から始まる」
確かに、噴水をバックに小さい子供のためにボールを取って戻ってくる彼女の姿は綺麗でした。絵になっていた。逆に整いすぎて、これが映画だと我に戻されてしまうほどに。
純粋なヒューマンドラマ・ラブストーリーだと思って見始めたのですが、ちょっとしたSFものでしたね。エアコンの穴でつながる世界。それもまたアリ、ですね。タイムリープのような物語はそれこそドラえもんに始まり、いろんな形で似たような設定のものをたくさん見てきましたが、個人的には『オーロラの彼方へ』という洋画を思い出しました。それよりもこっちの映画の方がご都合主義というか、うまくいきすぎてる感がありましたけど。
あと、これを言っちゃあ身もふたもないかも知れませんが、作中で平野さんも北村さんに言っていたように、2018年にもなってこの北村さんは色々警戒心が無さすぎる。壁から声が聞こえるだけなら、Bluetoothのスピーカーか何か仕込んであるのかとか、スピーカーくらいならまだしもカメラとかあったらどうすんだとか思わないのか。まぁ、そんな可能性まで気にしなきゃいけない今の時代が一番嫌なんですけどね。なぜだろう、こんなに色々できることが増えた今の時代よりも、一昔前の色々不便だった時代のほうが夢があり、ワクワクがあり、可能性があったように思う。これは単なる懐古主義なのかな。他にもこんな風に思う人はいるんだろうか。自分でもわかりません。誰か教えてください。
私は一目惚れのような体験は一度もしたことがありません。平野さんのあれも、一目惚れというよりも「綺麗」と思ったその女性とたまたまその後自分のアパートで再会できたから繋がったんだと思う。奇跡とは偶然の積み重ね。いいな、と思うだけでは始まらない。そこからきっかけを持ち、話をし、一緒に出かけ、関係を築いていった結果としてみんな恋愛という物語を始めるんだろう。
冒頭に書いたように、少しできすぎたストーリーだとは思いますが、少し心の洗濯ができました。良かった。