4.《ネタバレ》 大好きな「ゾンビランド」の主人公四人組が、十年後も家族であり続けたという、それだけでも嬉しくなっちゃう映画。
家族ともなれば当然、意見が合わなくて喧嘩別れしちゃう事もあるんだけど、最後は元の鞘に収まり仲直りっていうのも気持ち良かったですね。
誰か一人くらいは死んじゃう可能性もあるかもって警戒していただけに、そんな懸念を吹き飛ばして全員生存エンドを迎えてくれたのも嬉しかったです。
監督も主要メンバーも同じ顔触れが揃っており、前作が好きな人なら安心して楽しめる内容となっているんですが……
「終盤の展開が雑」っていう欠点まで前作と同じだったりして、ちょっと困っちゃいましたね。
「ゾンビも進化して、更に厄介な敵となった」という伏線があったのに、それに殆ど意味が無かったという肩透かし感も寂しい。
「高さ」を利用してゾンビ達を一斉に退治するクライマックスも、中々痛快ではあったんだけど、上述の設定があるせいで
(これなら敵は普通のゾンビのままで良かったな……)
って考えがチラついてノリ切れなかったし、典型的な設定倒れに思えちゃいました。
「二度撃ち」でも倒せない新型ゾンビって印象は強烈だっただけに、もっと上手く活用して欲しかったですね。
勿論、長所も色々あるというか、どちらかといえばそちらの方が多かったくらいだと思います。
ホワイトハウスを「我が家」にして四人で生活する様も楽し気で良かったし、人気漫画「ウォーキング・デッド」を読んで「全然リアルじゃない」と感想を漏らすのも、実際にゾンビ世界に住んでいる主人公達ならではって感じがして、面白かったですね。
すっかり豊満な女性に成長したリトルロックが、反抗期を迎えてしまい、それに他の三人が振り回される展開になるのも、ファミリー映画らしい魅力があって良かったです。
新キャラのマディソンを殺す場面をハッキリ描かなかったから
(実は彼女は生きていて、ゾンビ化した彼女と再会する事になるんだろうな)
とばかり思っていたのに
(……生きてるだけじゃなくて、ゾンビ化すらしてなかったよ!)
ってツッコまされた辺りも、程好いサプライズ感があって好き。
他にも、リトルロックの彼氏を「胡散臭い」と観客に感じさせる流れも自然で
(なんだ、この彼氏って良い奴かと思ってたのに、実は嫌な奴だったのか)
と失望させたりしないバランスに仕上げてあるんですよね。
かなり早い段階で、有名なボブ・ディランの曲を「自分の曲」と言ってリトルロックに聴かせる場面が挟まれており「こいつは信用出来ない」と印象付ける事に成功している。
こういった形の、さり気無い人物描写が上手い監督さんなのだなと、改めて感心させられました。
モンスタートラックや「誕生日プレゼントの銃」の使い方も巧みだし、人間をゾンビと勘違いして殺す事を「マーレイしちゃう」なんて表現するセンスにも、クスっとさせられましたね。
終わり方に関しては、前作と同じ「家族エンド」であり、予定調和な心地良さがある一方で、ちょっと物足りないとも感じていたのですが……
エンドロールの後、ビル・マーレイの大暴れを描いてくれた事には、もう大満足!
もし「ガーフィールド3」ならぬ「ゾンビランド3」があったら、再びエンドロール後には「ビル・マーレイが生きていた頃の話」を流して欲しいな、と思えたくらいでしたね。
完全なコメディパートかと思わせ、観客を油断させておき、意表を突いて格好良いゾンビ退治に突入する流れが、本当に面白かったです。
「ゾンビ世界を生き抜く為のルール」ならぬ「ゾンビランドを楽しむ為のルール」を作るとしたら、そこには是非「エンドロール中に席を立ったり、停止ボタンを押したりしてはいけない」って一文を付け加えたいな……と、そんな風に思えました。