1.ダリオ・アルジェント監督は1940年生まれとのことで、ウチの両親とほぼ同じというか、少しだけさらに上ですぜ。そんな爺さんが殺人鬼モノの映画撮ってるなんて、想像を絶する話で、もうそれだけで眩暈がしてくる。。。
まあ、一般人と比較してもしょうがないのであって、さすがアルジェント、としか言いようがありません。相も変わらず映画の中で血をぶちまけ、人を殺し、女性を襲わせる。相変わらずエゲツない。正直、特に目新しい点も無いのですが、奇をてらうこともなく、変な色気も出さず(ハダカは出てくるけどそういう意味ではなく)、もはや枯れた味わいとでもいいますか。奇妙な印象を残す要素をしっかり盛り込みつつも、それが過剰にならず適度に抑えられていて、自己主張し過ぎないのがよろしいかと。もはやショック映画を褒めてるのか懐石料理を褒めてるのかよくわからん文章になってきましたが。
冒頭、ヒロインの周りの人たちが皆、空を見上げていて、日蝕が起きる、というシーンですが、日蝕だから別にどうしたという訳ではなく、どうという伏線がある訳でも無く、ただ、何だかイヤな予感がする、という場面。彼女の服も口紅もやたらと紅く、そういうのが妙に印象に残る。日蝕なのでサングラス。ココは何となく、彼女が視力を失うこの後の物語を暗示してます。
で、ラストの空港のシーン。彼女はすっかり地味な出で立ちですが、やっぱり、少年のカバンとか、彼を迎えにきた女性の服とかが、やたらと紅かったりする。やや悪趣味な色彩がやっぱりアルジェントらしさ。
イヌが人間を襲ったりするのも、ああ、そういうのあったよなあ、とか思いつつ。
蛇がウジャウジャ出てくるのも、わけがわからなくって、イイじゃないですか。蛇でもいいし、ウジ虫でもいいし、針金の山だってかまわない。
結局、こういうのを一般には、マンネリとか劣化版とかいうのかもしれないけれど、こんな映画に、爺さんが生涯かけてここまで一生懸命取り組んでるのを、見過ごすわけにいかないですよね!