1.《ネタバレ》 山田洋次監督という事で令和の下町を舞台にしつつも昭和っぽい雰囲気、寅さんでおなじみの日本ならではの人間間の機微の感じはしっかりそのまま。笑える場面も多いが高齢者ならではの胸にしみる言葉はどこかしんみり、そして暖かい余韻が残る。
飲み屋での大泉洋と宮藤官九郎のワイシャツの微妙に違う着こなし、大泉の幼少時の写真等演出、美術、非常に細かいところまでこだわりが感じられる。永野芽郁は祖母の恋バナにきゃあきゃあ盛り上がったり若いエネルギーに溢れ、場面の空気を引っ張れている感じ。応じる吉永小百合の醸し出す空気感も絶妙。そして吉永と寺尾聡の恋愛模様についてはやっぱりこの齢でこういうのを演じて違和感なく見られるのは彼女ならではだなと感慨。ラスト近くの教会から出発する寺尾にかける吉永のセリフが女の意地と照れが込められていてよい。若ものにはピンとこないかもしれないが寅さんが好きなら見て損はないと思う。