1.《ネタバレ》 夢見がちで色んな事業に手を出しては失敗ばかりする父親に振り回され、ずっとギクシャクしてきたプレスリー家。心機一転とばかりに彼らは郊外の古い館を格安で手に入れ、さっそく引っ越してくる。かなりリフォームが必要なものの、市場価格よりもだいぶ安く手に入れたその物件。それもそのはず、館の屋根裏には家族が知らない秘密が隠されていたのだった――。何年前に死んだのかも分からないような中年男性の霊がずっと住み着いていたのだ。彼を最初に見つけた次男ケヴィンは、必死になって怖がらそうとしてくる彼に何故か恐怖よりも親近感を湧かせてしまう。言葉を発することが出来ない霊は、「アーネスト」という名札のついた服を着ており、ケヴィンは彼のことをアーネストと呼んで交流を深めてゆくことに。ところがそれを知った父親が、「こいつは金になる」とばかりに動画に撮ってネットにアップ。すると案の定、動画は大バズリ。瞬く間に拡散されてテレビの取材も殺到、家の周りはミーハーファンが取り囲み、著名な心霊研究家までやってくるのだった。まさに時の人となった家族。だが、そんな喧騒とは距離を置くケヴィンは、アーネストの過去や何故死んだのかが気になって仕方がない。隣に住むアジア系の少女ジョイとともにアーネストの過去を探り始めた彼は、やがて驚きの真実を知ることに……。監督は、『ゾンビ―ワールドへようこそ』や『ハッピー・デス・デイ』など、肩の凝らないエンタメ映画を幾つも撮ってきたクリストファー・ランドン。とにかく、この監督らしい小気味いいストーリー展開が最高に楽しかったです。なにより登場人物誰もがみな魅力的なのが大変グッド。特にこのアーネストという幽霊が、普通にどこにでも居そうなバーコードハゲの冴えないおっさんというのが良いですね~~。壁をすり抜けたり顔をドロドロに溶かして怖がらせたりは出来るけど、基本は「うーうー」言って変な踊りを踊ってるだけですもん。全然怖くないし、なんならこのくたびれ具合が哀愁漂いまくりですごく良い味だしてますわ。他にも隣に住む日系人少女ジョイのはねっかえり娘感がなんともキュートで好き。彼女と童貞主人公ケヴィンが良い感じになりそうになったら、余計な気遣いを見せてくれるアーネストの空気読めなさ感に思わずニヤニヤ。ランドン監督、童貞主人公のモサい青春を撮らせたらやぱ巧いですね~~。終盤、政府の役人たちと繰り広げるカーチェイスも躍動感があって面白かった。そうして明かされるアーネストの過去……。まぁありがちと言えばそうだけど、これくらいが安定感抜群で自分は気持ちよく観終えることが出来ました。この題材で2時間越えは若干長いような気もしたけど、なかなか面白かった。うん、7点!