1.《ネタバレ》 これがあのピーター・ハイアムズの監督デビュー作、いやー、とても新人とは思えない冴えっぷりです。刑事もの映画は数あれど、風紀係の刑事が主人公というのは他にお目にかかったことがない気がします。そんな冴えない職務のデカが、麻薬密売のボスに迫ってゆくまでのストーリーテリングは、ハイアムズの本領発揮と言えます。考えてみると、二人の刑事をさっさとあの世に送ってしまえばいいのに痛めつけるだけで満足しちゃい、二人に手下をバンバン殺され最後は行くところまで行ってしまうんですから、このボスもけっこう甘ちゃんでした。でもあのラストだけは、『フレンチ・コネクション』にも勝るとも劣らない無常さです。 カメラワークにも彼らしい拘りがすでに出ていて、走って逃げる犯人を常に前方からのカメラでとらえ続けるところなんて、実にクールです。本作と『カプリコン・1』しかないですけど、ハイアムズとエリオット・グールドのコンビは映画に何か化学変化を起こすんじゃないかな。