9.公開当時、観ようとは思わなかった。面白そうではあるが、どうしてもスクリーンで観たい絵ではなかったからだ。公開当時のテレビCMを思い出しても、サクラっぽい観客が笑っているのを見て「あ、これはヒットしていないな」と思ったものであるが、この「絵」で実は「ナウシカ」並にヒットさせていることはかなりすごいことである。
その後、ビデオで鑑賞すると、実によくできているのはわかるし、確かにほのぼのと楽しかった。
矢野顕子の音楽も実に心地よく、今に至るまで音楽だけはよく聞いている。
水彩画のような絵を動かすなど、テクニックを意識させない部分に膨大な手間をかけているであろうこともなんとなく想像できる。しかし、あの漫画家の絵はどういじっても、4コマ漫画の印象は拭えない。作品を否定するつもりはないのだが、画面上の効果に対して異常に手間がかかりすぎているように思う。
この作品の価値から考えれば、当時よりもさらに今のほうが、時代に合っている感じはする。
テレビでは「ナウシカ」や「トトロ」ばかりが再放送されるが、テレビ放送でもっと見直されてもいいように思う。
テレビ局もジブリ作品は気負ってゴールデン枠で放送するが、日曜の昼間とかに観るのにふさわしい。
この壮大な実験的技法が、高畑監督の次回作でこそ活かされていることを楽しみにしています。
14年待たされたので、次回作はスクリーンで観ます。