2.典雅です。ジョセフ・ロージーの『恋』もこのころだったか。フィルムの色が褪せてきてたのが、また味わいが出てよかった。ジェスチャーごっこ、海近くでのテニス、女性三人による何気ない合唱など、いい。けっきょく愛の執着の話なんだけど、その主観の熱風から離れて描く涼しさがある。池のほとりでの忍びあいの長回しが、まことに美しい。全体俯瞰が多かったが、「運命」って感じかな。姉妹が手相を見てもらうシーンがあったっけ。全体の典雅なトーンに、愛の執着が対立してるよう。老人となったクロードが英語をしゃべる女の子たちのなかから彼女の子どもを探そうとするまさに執着のラストなんだが、作者はそういう生々しさから離れた立場を求めて客観視しようしようとしてるのがいい。やたらナレーションを入れて説明するのも、当事者のことは当事者に任せちゃってるという感じか。