2.《ネタバレ》 はっきり言って、この映画は映像だけを追っていても内容が理解できてしまうような気がする。勿論、最初から最後まで、会話も含めて全て観たが、心情を深く語る場面以外では視覚的な解釈だけでストーリーのほとんどが理解できる映画だと思う。ある意味、映画の到達点的な作品。
また、カッティングにおいても非常に斬新で、車が遮ったところでのカッティング、二人の身体のあらゆるタイプのショットを組み合わせたベッドシーン、フランソワがエミリーの部屋に行って出会った瞬間の交互の連続カット、ワンシーンが終わるごとにフィルムの色調を変えたりなど、意味がないようにも見えるが実験的で面白い。
ストーリーの方は、夫の浮気に焦点を置いたストーリーなのだが、映像や音楽の美しさも手伝って、ごくあっさりとした雰囲気で進行していく。しかし、フランソワが浮気するのを当たり前のように淡々と映していた映像も、真相を告白するシーン辺りから一気にサスペンス色を帯びてくる。
一見すると、この浮気な夫を非難しそうになるのだが、テレーズが亡くなってからエミリーと一緒に暮らすようになるまでの過程がしっかりと描かれているため、この監督は夫の一連の行為を容認しているような印象を受けた。
この映画の監督が女性であることを考えると、フランソワ一家の背中を暖かく見守ってあげなきゃ、という気になってくる。男の監督だったら、男の浮気を容認しろと言ってるように見えるケド(^_^)