6.《ネタバレ》 全体的に寂しさが漂う作品。冒頭の同窓会から始まって、寅さんの兄弟分が病気で死ぬ。その兄弟分との約束もあっていつになく寅さんが本気で結婚を考える。
おいちゃんに背広を借りて、柴又の誰の世話にもならず一人で求人を探してまともな会社に面接を受けに行く。寅さんの今回の本気は、誰の手も借りず就職しようとした事や、光枝がとらやを訪れたときの寅さんの態度でよく分かる。
しかし、その顛末は観ている僕達には分かっている訳で・・・。そんな作品の雰囲気にあって最高のアクセントになってくれていたのが旅先で出会う愛子。元気一杯に演じた岸本加世子が本当に良かった。愛子が兄ちゃんと再会するシーンも素晴らしかった。
寅さんが旅に出る前後はいつも寂しいのですが、本作は寅さんの本気が見え隠れしただけに余計に寂しさを感じました。それだけにラストシーンも元気一杯の愛子の存在に心が和まされたのでした。