1.《ネタバレ》 『冬冬の夏休み』を思い出させるイデオロギー色のない(政治的な意味に限らず)中国映画。ストーリーよりも、状況として・風景としてシミジミさせる映画もあの国で生まれるようになったんだなあ、という感慨があった。老人と子どもの世間から遠ざかった環境での暮らし、けっこう町っぽいけど、川のほうへ行けば田園という境のような環境。どうせ父親に悪口を吹き込まれてるんだろう、というお祖父さんと、最初からおっかない孫。隣りの娘とで京劇とバレーが対比される(柵越しにメイキャップするシーン)。またその配置は、男二人の暮らしに、それぞれ女性の相談相手がいることになる。蓮おばさんの仏像を割ってしまうことが彼女の死につながり、その葬式費用がきっかけとなって、老人と孫とが京劇において和解する段取り。風景のみのフェイドイン・フェイドアウトのカットがいい。スン・チョウ孫周監督。