3.《ネタバレ》 オスカー・ワイルドの『サロメ』は演劇としても有名、かつリヒャルト・シュトラウス作曲でオペラにもなっていてコッチもまた有名でありますけれど、今作は構成としてはこのサロメを劇中劇として上映時間の大半でソレを描写してゆくのであり、かつ大筋は原典にかなり忠実なので(⇒演出の方では思い切り独自性を出しまくってますが)映画としては非常に観易い・見せ場も分り易い作品になってますね⇒その時点で、監督作としてはだいぶオススメし易い感じ。演出としても、この話が(本質的には)エロいヤツだってゆうトコロの表現は(根本的には)オペラとかとも変わらんと思うのですが、この面とてよりドギツく+かつ下品な方面にかなり滑稽なモノとして+加えて少し現代的・モダンな雰囲気も取り込んで、といったユニークな質感に仕上げられてますかね(ただ、この80~90年代に「モダン」だったってヤツって、今今にコレを観るとどーにもちょいダサいとも言いますか、今だと「モダン」にも「レトロ」にもなり切れてなくてややイマイチ…と思うコトもあったりしますが)。
重ねて、シンプルにワリと(眺めてるダケでも)楽しめる…と思うのですが、それは衣装とかのルックス面がごくユニーク・凝ってるコトの効果なのは言うまでもねーです。いちばん好きだったのは(まるでパンク・ロッカーみたいな)洗礼者ヨハネすね。あとは当然、肝心のサロメ役のイモージェン・ミライス=スコットというお姉ちゃんも、この人はワリと最初っからナチュラルにイカレてる感じがプンプン漂ってるのですが、更に中盤~終盤で「Let me kiss your mouth!」とか「Give me the head of John the Baptist!」とかってキメ台詞をひたすら延々繰り返すサマのマッドなコトにはモ~痺れてしまいました。他、グレンダ・ジャクソンの王妃へロディアの(高貴ながらの)アバズレ感も当然の如くに好みでしたね。