1.フランスとイタリアの4つの都市を舞台にした4話からなるオムニバス。なんでも、一度倒れて、その後遺症で言葉を発することができなくなったアントニオーニに対して制作費を出す条件がヴェンダースを共同監督とすること、だったそうで、ヴェンダースはこの作品の前と後、そして各エピソード間の挿話を撮っている。ヴェンダースが担当するのは第2話で登場するマルコビッチ演じる映画監督が次回作の舞台選びに4つの都市をまわっていくという所謂ロードムービーなわけで、彼らしさが発揮できる展開なわけで、当然こちらはアントニオーニとの高度な映像バトルを期待したわけですが、意外にも全てがアントニオーニ色に染まっている。もちろんアントニオーニの映画なので、ヴェンダースがアントニオーニ風に撮ったのでしょうが、そもそもヴェンダースの中にアントニオーニ的なものが備わっていたのだろうと思いました。とか言ってるあいだに4つのエピソードに関するコメントを書くスペースが無くなってしまった(トホホ..)。「ありえない恋の話」の町並み、「女と犯罪」の港、「私を殺さないで」のガラス張りの建物、「死んだ瞬間」の教会、どれもが有名無名の俳優たちが見事に情景に溶け込んだ美しい作品でした。