2.ストーリーらしいストーリーもないモヤモヤとした流れの中、一種のはみ出し者のような主人公の生き様や人となりが描かれ、ラストの銃撃戦では唐突で露悪趣味のような残酷描写も見られる。と来れば、『タクシードライバー』を思い出したりもする訳で、そう考えるとこの映画、結構、先取りしているんですね。というか、『タクシードライバー』ってもしかしてこの映画を参考にしてませんか、とも思っちゃう。
ただ、『タクシードライバー』の方はもっと表面的な感じがあって、何だかとっても浅い内容なのかも知れないけど、やたらにカッコいい。音楽もイカしてる。とってもアタマのいい人が作った不良映画(決して優等生映画じゃない)だと思える。それに比べると、この映画、もっと誠実で、もっと泥臭くて、音楽も湿っぽくって、要するにイケてない。そこに本作のもつ哀しみもある。
なんやかんやあったけど結局、すべては噛み合わないままの、すれ違いだったのかね、という、哀しさ。