1.「青春」という言葉の響きから連想するのは、眩しく輝かしいもの、あるいは反対に怒りと反抗に満ちたもの、だったりするが、この作品で描かれる孤独と葛藤もまた「青春」の代名詞。人生の方向がままならない10代の心の放浪はやたらとリアルでもある。主人公の放浪は、無意識的に未来を模索しているようにも見える。冒頭で交互に映される、いつもの喧騒のニューヨークと、けして表立たないゴーストタウンのようなニューヨーク。賑やかに見える街にも孤独があるということだろうか。出会う人々もまた孤独を抱えている。パリに行っても同じこと。同じような理由でパリからニューヨークにやってきた若者がいるから。でも行かずにはおれない。若者の性分であり特権である葛藤が永遠に続くかのように感じる、それもまた青春。若きジャームッシュがここにいる。そんな気にさせてくれるから好き。