1.《ネタバレ》 インタビュー形式のドキュメント風ですので虚実が気になるところですが、この映画の魅力はリアリティよりも面白さを重視しているところにあります。というのも登場するインタビューを受ける人々は誰もが話し振りを心得ていて、ニュースなどで流れるようなものでは全くなく、まるでタランティーノの映画に出てくる小話のように聞こえるからです。それどころか、話者の息遣いや抑揚、背景の構図や物の位置まで綿密に計算されているようであり、この出来過ぎさは一歩間違えれば不信感を招きリアリティを放棄しているかのようにすら見えます。つまり、白けない程度の真実味を保ちながら虚構で魅せる。これこそまさに映画ではないかと思い知らされます。最後の話者である新世代の若い娘が、新世代の街を背景に労働者である両親について語る場面では、もはや本当か嘘かなどは関係無く語る姿に感動してしまいました。