1.“シャーロック・ホームズ”の今更の映画化、しかも監督は、ガイ・リッチー。
正直、「なんだそりゃ」と、イメージのアンバランスさに戸惑ってしまった。
更に、主人公“シャーロック・ホームズ”を演じるのは、ハリウッドきっての問題児、ロバート・ダウニーJr.。
流石に“悪ノリ”し過ぎなんじゃないかと一抹の不安を保ちつつ、鑑賞に至る。
予想通り、“悪ノリ”し過ぎている。が、問答無用に”面白い”。
コナン・ドイルの世界的古典「シャーロック・ホームズ」と、ブリティッシュ・ギャング映画を得意とするガイ・リッチーのまさかの融合。
そこに生まれたのは、奇跡的なエンターテイメントだった。
“英国紳士”という世界的なイメージが定着しているシャーロック・ホームズというキャラクターを、180度転じた無頼漢に仕立て直した試みが、何と言っても面白い。
しかも、そこにロバート・ダウニーJr.を配した潔い抜群のキャスティングに脱帽だ。
実は今年に入って、ロバート・ダウニーJr.主演の「アイアンマン」を観たばかりで、立て続けて新たな造詣の”ヒーロー”を演じる彼の姿を見て、自らの”過ち”を糧にして新境地を切り開いた役者魂を感じずにはいられない。
混沌とする現代社会は、汚れのない真っ当なヒーローなんて真実味がなくて魅力を感じないのだと思う。
不潔でだらしなくて、多少強引に「正義」を貫く新たなヒーローの姿に、共感し喝采を送る時代なのだ。
ただし、「アイアンマン」と並び、これでヒーローシリーズの主役を張り続けるしかないロバート・ダウニーJr.には、ぐれぐれも真っ当に俳優業を続けてほしいものだ。