1.予想以上に面白くて驚いた!
原作漫画はキャラクターの魅力を前面に出し、少年漫画としての面白を追求しているものでしたが、その精神は本作でもいかんなく発揮されています。
現実的に考えればありえない荒唐無稽なキャラクターたちにはきちんと血が通っています。
原作を読んだことのある自分としては、単なる見た目だけでなく、「まさしくこれは『るろうに剣心』だ」と言える作品に仕上がっていました。
個人的に素晴らしかったのは佐藤健、吉川晃司、香川照之の3名。
佐藤健はNHKの大河ドラマ「龍馬伝」でも人斬りである岡田以蔵を演じていました。
その剣さばきは見事で、ベテランの揃う役者たちの殺陣の中でも全く見劣りしません。
そして役柄も主人公のキャラにものすごくあっています。
普段は可愛らしさも感じられる優男だけど、怒れば声を荒げ、激情の男となる。
その「剣心」のイメージに、彼はぴったりでした。
吉川晃司演じるボスキャラクターの「鵜堂刃衛」は、作中1、2を争うほどの原作の再現っぷりを見せつけてくれます。
香川照之さんはね、あのね、最高。
予告編で「たまんねえな~っ」て言っているところからワクワクさせてくれましたが、実際に本編を観てみるとそのシーンをはるかに超える狂いっぷりです。
原作のエピソードを盛り込みつつ、映画ならではのダイナミズムも追求した脚本もよかったです。
小話を挟みつつも、ひとつの映画として起承転結がしっかりしている構成は万人が楽しめると思います。
原作を知らない方にも、十分受け入れられるでしょう。
もちろん不満がないわけじゃありません。
原作のファンにとっては、原作から端折られてしまったキャラクターがいるは気になるし、中盤の展開が間延びしていて少々退屈だったり、
武井咲演じるヒロインがちっとも「師範代」の剣術の腕前に見えなかったりするのは残念です。
それでもこれは十分オススメできる「時代劇」です。
明治維新を迎えたばかりの時代背景、殺陣やアクションの面白さ、魅力たっぷりのヒーローたち。
それだけで楽しめる作品ですので、原作漫画を知らなくても、昔ながらの時代劇が好きな人にも是非劇場へ!