5.《ネタバレ》 地震になるまでが長い。
チリ地震のパニック映画という予備知識はあったので、もしかして違う映画かと思ったほど。
まったりしすぎているが、後半がそのギャップで引き立つのと、人物にある程度思い入れを持たせてくれる効果はある。
パニックものでは特に、思い入れがあるのとないのとではハラハラの度合いが全然違ってくる。
エキストラ同様の人物が死んだところで、ほとんど他人事になってしまうので。
地震や津波といった天災も悲惨だけれど、それに伴う醜悪なエゴや争いによる人災のほうがもっと悲惨。
日本の震災では民度の高い助け合いのほうが多く見られたようだが、国によってはこうした暴動や凶行も十分起こりえるのが怖い。
無法地帯の修羅場と化して、人間の醜い部をこれでもかとばかりに露出させてくる。
善意で助けようとする人も、報われることなく地獄絵図に。
もう踏んだり蹴ったりでとことん救いのない、悪趣味ともいえる映画。
製作・脚本・主演を担うのが『ホステル』のイーライ・ロスだとわかってなるほどなと。
ワインセラーの女性ガイドや掃除のおばさん等、最後までストーリーに絡んでもおかしくないキャラでも序盤からバンバン惜しげもなく死なせていく。
その死に方もむごたらしくて、パニック映画というよりもホラー系のグロさが前面に出ている。
後味が悪すぎてあまり好きなタイプの映画ではないものの、明確なコンセプトに沿ってよくできているし、感情を揺さぶるインパクトはある。
再鑑賞。次から次に嫌なことが起こる映画。どんな顔して作ってるんだろうと、ふと思った。