1.《ネタバレ》 世界はバランスで成り立っている。
何かを得た場合、何かを失わなければならない。
その折り合いをつけられず、大人の境界線であがくマイルスは、
親と衝突し、ルールと衝突し、世界と衝突し、同じスパイダーマンと衝突していく。
未熟さゆえの勢いで決められた運命を変えられることを信じて。
彼がイレギュラー扱いされている理由が終盤で明かされる。
本来は蜘蛛に噛まれてスパイダーマンになる"運命"ではなかったのだ。
だから、ピーター・パーカーが死ぬことはなかったし、不幸な事故で科学者がヴィランになることもなかった。
そして、別世界線の蜘蛛に噛まれたために、その世界のスパイダーマンが存在せず、
プロウラーになったマイルスが生まれることになった。
前作の因果が本作で浮上して、"大いなる力は大いなる責任を伴う"というテーマが際立つ。
圧倒的情報量とカオスと色彩は健在で、二次元と三次元の境界線を忘れさせるアニメーション技術はむしろ進化している。
長尺になりすぎて前後編に分けたそうだが、溜めに溜めたまま終わった最後の15分はちょっと惜しい。
それでもマイルスの運命に抗う物語に共鳴した、一部のスパイダーマンたちが如何に反旗を翻すのか、
完結編で満点を出すほど大きな期待を寄せるには十分で8点とさせて頂いた。