1.アナス・トーマス・イェンセンが贈る「かん違い世直し」奇譚。
理不尽な辛い目に遭うと人は因果を求めたくなる、これって洋の東西を問わないのですね。エストニアのタリンで女の子が青い自転車を欲しがったことから始まるデンマーク住みの家族の悲劇。
たしかに繋がってはいる。けれど、今生きてる我々の現在はなにがしかの結果であり、流れの途中でもあるのだから振り返って遡っても意味はないよ、キリが無いよと軽やかに言ってのける監督のセンスを大いに支持したい。
人物らがクセありな面子ぞろいで、いかにもイェンセン。傷心の父娘の前に現れるは三馬鹿(と言いたくもなる)トリオのおっさん。彼らの純度の高い阿呆力がじわじわと観てる方にも浸食してきます。いや、みんな傷ついててけっこうボロボロなんだけども。今作では飛びぬけて乱暴者のマッツも彼らの悪意なき天然に浄化されてゆくよう。
後に一人加えての、ラストのクリスマスシーンは奇跡的なまでに幸福な画でしたね。ああ、自転車タリンに渡ったんだ・・。思うところはあるけれど、まあいいでしょう。デンマークの6人が今幸せなのだから。